このページは、中津川市立阿木高等学校についての基本的な情報を提供するものである。
これから入学試験を迎える受験学年の生徒諸君や、その親御様にぜひ読んでいただきたい。
目次
学校情報
学科
生産科学科
園芸・作物の栽培や農産物の加工・流通など、農業生産を科学的に学習する。
そして、新しい農業技術や生産・流通システムに対応できる農業関連従事者や地域社会に貢献できる職業人を育成することを目標としている学科である。
1年次には、農業と環境、農業情報処理、総合実習などを学ぶ。
実習では、茶畑に行ったり地域の農場を視察したりもする。
2年次には、野菜や食品製造の学習が追加され、1年次と同様に実習に行く。
3年次には、これまで学習した内容から自身が興味のある学問に特化できるように2つのクラスに別れて学習が進められる。
園芸コース
野菜、草花、果樹などの生産に必要な知識と技術を身につけようとするもの。
主に「野菜」「草花」 「植物バイオテクノロジー」 「総合実習」「課題研究」 「農業情報処理」について学ぶ。
例えば、メロンやトマトの水耕栽培や施設園芸としてシクラメンを育てたりする。
組織培養実験等の授業も学校で受けることができる。
食品コース
農作物の加工や流通に関する知識と技術を身につけようとするもの。
主に、「食品製造」「食品流通」「果樹」「総合実習」「課題研究」「農業情報処理」について学ぶ。
例えば、ジャムの製造過程から食品加工を学んだり、製茶加工実習や六斎市で販売実習などに参加し、製造と販売について学ぶことが可能となっている。
いずれのコースも、日本農業技術検定や危険物取扱者等の資格も取得することが可能となっている。
総合生活科
生活に必要な知識と技術を総合的に学び、生活を創造していく能力と実践的な態度を身につけ、専門的な知識・技術を活かし、地域社会に貢献できる職業人を育成することを目標としている。
1、2年次には、「生活産業基礎」「生活産業情報」「フードデザイン」 「子どもの発達と保育」「生活と福祉」「ファッション造形基礎」「生活教養」などを学ぶ。
実習では、老人福祉施設や幼稚園に訪問している。
3、4年次には、これまで学習した内容から興味のある分野に特化した学問を学ぶために、2つのクラスに別れての学習が開始される。
生活衣食コース
生活関連産業に関する知識・技能を身につけようとするもの。
主に、「ファッション造形基礎」「食文化」 「課題研究」「フードデザイン」 「生活教養」 「生活産業情報」「服飾手芸」について学ぶ。
実習や演習として、着付けや洋食講習会があり、それぞれ技能検定が用意されている。
保育福祉コース
保育福祉に関する知識・技術を身につけようとするもの。
主に、「子供の発達と保育」「生活と福祉」 「課題研究」「フードデザイン」 「生活教養」 「生活産業情報」「服飾手芸」について学ぶ。
実習として、福祉施設や保育園の訪問があったり、手話の講習会などコミュニケーション能力を高める講義も用意されている。
いずれのコースも、文部科学省後援全国高等学校家庭技術検定や、華道池坊龍生派(入門・初伝)、茶道表千家(手習)といった資格を取ることも可能となっている。
概要
本学は岐阜県内唯一の単位制昼間定時制高校である。
定時制高校のため、卒業には最短3~4年が必要となる。
簡単に説明すると、3年で卒業が可能な三修制では、1日6時間学習し必要な単位を取ることが必要となり、4年で卒業する四修制では、1日4時間学習し必要な単位を取ることが必要となる制度だ。
本学では、学習の進捗によっては2年次から四修制の生徒が、三修制に移ることも可能となっている。
授業は朝1限が8時50分から開始され、2限が9時50分〜10時40分まである。
三修制の生徒は、上記1・2限を受講する必要があるが、四修制の生徒は、3限から6限までを出席すれば問題ない。
本学が設立された背景には、阿木村の歴史が色濃く反映されている。
阿木村は明治30年ごろに、阿木と飯沼という2つの村が合併して生まれた村であり、中心部に阿木川という河川が走っており、村は川を沿って扇状台地の地形を持つ集落であった。
主に農業が生業として営まれたが、村の地形は農業に適したものではなかったそうである。
しかし、集落の気質として粘り強さや、農業によって村を活性化させたいという強い思いがあったそうだ(若者の離農が深刻化していた)。
そこで村の活性を願い、高等学校を設立することになり、1949年に村立阿木高等学校が誕生した。
設立当初の阿木高等学校
出展:阿木高等学校HPより
偏差値
偏差値は32。面倒見の良い先生方が多く在籍しており、生徒との関係も良好だそうだ。
偏差値が極端に低いのは、単位制定時制高校であるという理由が大きい。
単位制定時制高校では、学び直しも含めて広く生徒を募集している背景もある。
また、岐阜市内からかなり離れているため、地域からの入学者が一般的なのかもしれない。
入試情報
岐阜県の公立高校の入試制度に従い実施される。
標準検査(国数英理社)と面接試験を実施している。
定員は40名となっているが、近年は定員割れの状況である。
出典:平成30年度入学者選抜実施概要 公式HP
http://school.gifu-net.ed.jp/syoyo-hs/jhs/pdf/30_kennsagaiyou1.pdf
合格実績
昨年度は半数以上の生徒が就職している。3割程度の学生が進学しており、残りは家の手伝い(おそらく農業関係者)となっているそうだ。ホームページに直近5年の合格実績・就職実績があったので記載しておく。
ちなみに、29年度は四年制大学進学者が4名、専門学校へは10名、就職は32名となっている。
合格実績としては、
愛知工科大学自動車短大、中京学院大学、中部学院大学、愛工大情報電子専門学校、愛知調理専門学校、愛知中央美容専門学校等。
就職実績としては、
名古屋技研工業、医療法人恵雄会(こころ)、下呂温泉山形屋、東美濃農業共同組合ほか多数。
部活動
運動部
バスケットボール部、バレー部、テニス部、陸上競技部、剣道部、卓球部、サッカー部、バドミントン部
文化部
手芸部、図書部、園芸部、美術部、伝統舞踊部
部活動では運動部の活躍が著しい、特に29年度は剣道部が1名、テニス部が4名、陸上競技部が5名、バドミントン部が1名とそれぞれ全国大会に出場している。
また園芸部は、毎日の学習を経て得た知識を使った栽培を行なっているため、他の園芸部とは違い本格的な内容になっている。
例えば、メロンの水耕栽培や学校設備の温室を使ってのイチゴの栽培などがその例だ。
また、季節に応じて育てる作物を変えており、現在は夏なのでゴーヤを育てているそうだ。
特色
定時制高校のため行事ごとは少ないと思われるかもしれないが、実は文化祭や球技大会など普通科高校と変わらないペースで実施されている。
また、地域のお祭りが行事ごとに組み込まれている辺りが、地域との結びつきの強さを物語っている。
阿木そば・シクラメン祭りは中津川市阿木町のイベントである。
阿木はシクラメンの産地として90年以上の歴史を持っており、その最盛期に名産の阿木そばと合わせて実施されるお祭りである。
そばは、そばがらから手打ちのそばを作って食べることができる。
また、自然豊かな阿木の魅力を最大限活かしてツリークライミングの体験も可能となっている。
学生たちは、スタッフとしてこの地域のお祭りに参加し、地域の活性化の一助となっている。
年間学校行事
4月 入学式
5月 球技大会(ソフトボール)・全校茶園実習
6月 県定通高校総体
8月 中学生1日体験入学・全国定通高校総体
10月 球技大会・定通高校秋季総体
11月 文化祭・修学旅行・遠足
12月 阿木そば、シクラメン祭り参加・そば打ち体験・2年生試食会
2月 1年生試食会
3月 卒業式
今回、この学校行事については、中津川市立阿木高校のページを参考にさせていただいた。
学校行事の様子など、写真を交えて校内の様子を発信している。
この記事を読み興味を持った方は、ぜひリンク先を訪れてみて欲しい。
出典:中津川市立阿木高校HP
まとめ
阿木高等学校は一見すると、地方の学校という地味なものに感じられてしまうかもしれないが、実は地方再生という現代の課題に真摯に向き合っている学校であると感じた。
もともとの歴史が地方の活性を願ったものであるので、実に1世紀近くもその目標に向かって邁進して来たのだろう。
現在は、岐阜県唯一の単位制昼間定時制高校として本学にしか出来ない役割も全うしており、努力は時間をかけて報われるのだということを証明し続けている。
現在は志願者が減少傾向にあり少し残念だが、この記事を読み進学を志願してくれる学生が増えることを期待している。
総じて、今後のさらなる成長に期待したいと思う、そんな学校であった。
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