このページは、岐阜市立商業高等学校についての基本的な情報を提供するものである。
これから入学試験を迎える受験学年の生徒諸君や、その親御様にぜひ読んでいただきたい。
岐阜県では、平成30年(2018年)より全日制普通科の高校入試において、全県一区制を導入することになった。
これにより、受けられる高校の制限がなくなり、岐阜県民であれば自由に通いたい高校を選ぶことができるようになった。
以下、岐阜県市立商業高等学校について紹介していこう。
目次
学校情報
所在地 岐阜県岐阜市鏡島南二丁目7番1号
設 立 1969年(昭和44年)
教 訓 自彊不息(じきょうふそく)
制 服 男女共に紺のブレザー、男子スラックス、女子スカート共に灰色に近い色。
校 章
歴史は古く、1567年に織田信長により井之口村が岐阜に改称されるに至った時代まで遡る。
井之口の地名の由来となったのは、農業用水を”井水”と言い、その取水口が金華山麓にあったためこの名になったと推察されている。
本学は1904年の開校に際し、この井之口の井桁をモチーフに取り入れ図案化してこの校章は生まれた。
アクセス
JR東海道線「西岐阜駅」下車 徒歩10分
岐阜バス「市立岐阜商業前」下車 徒歩10分
定員
情報処理科 40名
経営管理科 120名
計 160名
教育方針
・生徒の個性に応じた教育の展開を図り、将来を展望した魅力ある学校づくりに努めます。
・「自彊不息」の校訓のもと、「生きる力」を身に付けた生徒の育成に努めます。
各学科紹介
情報処理科
情報に関する専門的な知識と技術を身につけ、EUC(エンドユーザーコンピューティング)を推進するために必要な資質を養い、変化する情報社会に生涯を通じて柔軟に対応できる能力と態度を養うことを目的としている。
2つの系統に分かれ、必要な知識や技術を学ぶ。
・システムアドミニストレータ系
将来企業でEUCをリードできる人材を育成することを目的としている。
また、国家資格である情報処理技術者試験初級システムアドミニストレータ試験と、簿記1級試験の合格を目指している。
・ビジネスアプリケーション系
実社会で求められるコンピュータが使える人材を育成することを目的としている。
日本語ワープロ、表計算など様々なアプリケーションを実習し、資格取得を目指している。
経営管理科
企業経済の国際化、情報化、サービス産業の拡大などの社会変化に柔軟に対応できる能力、態度を育て、新ビジネスや地域産業発展に寄与する力を養うことを目的としている。
3つのコースに別れており、それぞれで学べる内容が異なる。
総合コミュニケーションコース
・グローバルコミュニケーション系
中国語によるコミュニケーション能力を身につけると共に、中国語学習を通じて外国の言語や文化を理解する姿勢を身につけ、国際化を推進する社会で活躍するための基礎能力を身につけることを目的としている。
・情報コミュニケーション系
コンピュータや情報通信ネットワークを活用するための基礎知識や技術を学ぶと共に、高度情報社会において、主体的に情報を創造し、発信できるコミュニケーション能力を育成する。
マーケティングコース
生産・流通・消費という経済の仕組みの中で、流通が果たしている機能や役割を学ぶと共に、マーケティングの基礎知識を身につけ、計画的に経済活動が人間を育成する。
会計コース
会計の国際化や、コンピュータ化に対応するためにビジネス諸活動を計数的に把握し、それを活用して経済社会に柔軟に対応できる人材の育成を目指す。
教育概要
本学は岐阜県岐阜市鏡島南2丁目に所在する市立商業高等学校である。
情報処理科と経営管理科と大きく2つの学科があり、共に商業系の教育を受けることができる。
教育の方針として”ひとりひとりの自覚と実践”というスローガンを掲げており、生徒一人ひとりの学業と部活動の両立、地域に愛される学校つくりに努めている。
教育指導の重点として、学校経営の指針には以下の6点を定めている。
教育指導の重点
1. 学力の定着と向上
授業規律の徹底を図るとともに、生徒が主体的に取り組むよう「わかる授業・楽しい授業」を追求し、基礎的・基本的な学力の確実な定着に努める。
2. 生活指導の充実
さわやかな挨拶や清楚な身だしなみ等の基本的な生活習慣の確立に努めるとともに、人間性豊かな生徒の育成を図り、他を思いやる心や進んで奉仕する心を育む。
3. キャリア育成の徹底
就業に関わる体験的な学習や外部の教育力を活用した教育活動を通して、3年間を見据えた体系的なキャリア教育を行うことにより、生徒一人一人が主体的に進路選択できるようにする。
4. 地域貢献活動の推進
図書館、グラウンド等の学校施設の開放や市民講座の実施によって、より開かれた学校づくりを目指すとともに、地域行事のボランティア活動に積極的に参加し、地域に密着した学校運営を推進する。
5. 積極的な情報発信
一斉メール配信やホームページ等を利用し、生徒、保護者と情報を共有するとともに、岐阜市及び地域に対し学校の教育活動等の、積極的な情報発信を行い地域社会との連携強化を図る。
6. 教育環境の整備
校舎周辺や校舎内の環境整備に努めるとともに、生徒の安全対策の充実を図る。
概要
通称は「市岐商」岐阜には県立岐阜商業高校(県岐商)があり、混同しないためにそう呼ばれている。
本学のはじまりは1969年のことで開校当初は、経営科96名、経理科46名、事務機械科46名の計三学科、男子のみの学校であった。
その後、1988年には学校改編により経営科、経理科を廃止し、新しく経営管理科を新設した。
さらにこの年から、男女共学を開始し女生徒78名が入学した。
2006年には学校法人立命館に本学が移管し、中高一貫校を設立するという話が出た。
当時岐阜市は、2009年に立命館岐阜高等学校を開校し、2010年度には中学校を併設するという旨の覚書を締結する予定であった。
しかし、市教育委員会から「少子化の見通しから存続が困難」という声があり、紆余曲折があり、結局立命館の移管の話は断念された。
偏差値
偏差値は47-48。岐阜県内の公立高等学校が156校あり、その中で48番目だ。
卒業生の声では、市岐商デパートと呼ばれる文化祭のような行事や部活動が盛んで毎日充実した学校生活を送ることができたという好意的な意見が多い。
一方で、資格取得のための勉強は基礎的なところを重点的に学ぶため、難しい資格の取得にはある程度自習の時間を確保する必要があるという意見もあった。
入試情報
岐阜県の公立高校の入試制度に従い実施される。
標準検査(国数英理社)と独自調査では面接、小論文試験を実施している。
定員は30年度はは情報処理科が40名で志願倍率は0.82。
経営管理科が120名で志願倍率が1.29だった。
今年度31年の入試概要は以下である。
募集学科:情報処理科 / 経営管理科募集人員:40名 / 120名
調査書と学力試験の割合:5・5
面接試験:実施しない
試験日:平成31年 3月7日(木)
当日の時間割
9:20 ~ 10:10 国語
10:30 ~ 11:20 数学
11:40 ~ 12:30 英語
13:20 ~ 14:10 理科
14:30 ~ 15:20 社会
詳細は本校のHPリンクを確認いただきたい。
合格実績
年ごとに実績は異なるが、平成29年度の実績では、約6割弱の生徒が四年制大学・短期大学や専門学校へと進学しており、残りの生徒は就職している。
本校が公開している29年度の実績によれば、私立四年制大学に55名、私立短期大学に13名、専門学校に30名が進学しており、就職は55名であった。
以下、ホームページ記載の29年度実績から、主要な合格実績を紹介する。
私立大学
愛知学院大学3名、愛知淑徳大学2名、朝日大学10名、南山大学3名、名城大学3名他
短期大学
岐阜保健短期大学3名、大垣女子短期大学3名、名古屋文理大学1名他
専門学校
一宮市立中央看護専門学校1名、大原法律公務員専門学校2名、名古屋ビジュアルアーツ3名他
就職
株式会社トーカイ、株式会社豊田自動織機、岐阜車体工業株式会社、中部電力株式会社、トヨタ自動車株式会社、岐阜市消防など。
部活動
運動部、文化部共にメジャーな部活動が用意されており、入学した生徒はきっと打ち込める部活動と出会えることだろう。
また、部活動の力を入れる学校の方針からか、良い実績を残す部活動が多く、野球部では過去4度全国高校野球選手権大会に出場を果たしている他、相撲部、剣道部、ハンドボール部はインターハイの常連となっている。
文化部ではコンピューター部は、商業実務競技大会で上位の賞を納めている。
特に今年はハンドボール部男子の活躍が目覚ましい。
2月2日〜4日の二日間にかけて静岡県で行われた「東海高等学校ハンドボール選手権大会」に参加し、準優勝をおさめ全国大会進出を決めた。
なお、全国大会に昨年度までで11年連続で出場を決めており、今年も合わせて12年連続という素晴らしい快挙だ。
同ハンドボール部の目標は”全国大会で成果を出す”と”ハンドボールを通じての人間形成”とのこと。
今後も活躍に目が離せない。
以下、部活動一覧
運動部
野球部、剣道部、陸上競技部、相撲部、ハンドボール部、バレーボール部、テニス部
卓球部、バドミントン部
文化部
ワープロ部、コンピュータ部、異文化交流部、マルチメディア研究部、ブラスバンド部
簿記部、調理・手芸部
特色
本学の特色としては、商業学校なのでやはり資格の取得に力を入れているという点が挙げられるだろう。
目指す資格には、簿記実務検定や珠算・電卓実務検定といった商業学校特有のものや、英語検定、商業経済検定など卒業後の実務を想定した資格の取得にも力を入れている。
本学が資格取得に力を入れていく中で大切にしていることの一つに、”やりがいと達成感”とうものがある。
資格の取得とはチャレンジすることではあるが、その中で勉強にやりがいを見つけ合格を勝ち取ることで達成感を得ることができる。
また、もし合格することができなくても、学習を通じ得た知識が一生の宝となるように少人数で丁寧に指導を施している。
合格者実績では、29年度にはITパスポート試験で15名。日商簿記検定2級で38名。全商情報処理検定1級で63名。
全商珠算・電卓検定1級(電卓)で61名の合格者を出しており、全国商業高等学校主催の検定資格1級を3科目以上合格している人数が24名。
7科目に合格している生徒も1名おり、相当の実績を出している。
この実績からも適切な指導が行われていることがわかり、商業高校を目指している生徒や資格を取得して優位に就職をしたい生徒にはおすすめの学校である。
年間学校行事
4月 入学式、遠足(1年生高山、2年生京都、3年生ナガシマスパーランド)、体力テスト
6月 衣替え
8月 3年生模擬面接
9月 前期期末考査
10月 中学生1日入学、球技大会
11月 市岐商デパート、芸術鑑賞
12月 2年生沖縄修学旅行、綱引き大会
3月 卒業式
学校行事では、10月に行われる市岐商デパートが有名だ。
これは文化祭の代わりに実施される、学校内外の人が関わり模擬販売を本学で実施するというものだ。
デパートという名前の通り、様々な商材を扱い、毎年20店舗ほどの出店がある。
子供服や野菜の販売などその商材も多岐に渡る。
このデパートの最大の特徴は、商品の販売に関わる全ての流れを学生と地域の人たちが協力しながら実施していくことにある。
実施前段階で、学生たちは7つの課に分かれそれぞれの役割を全うしていく。
・販売課
各クラス当日は2つの店舗を出店する。
この課はその店舗の売り子を担い、顧客に商品の販売を実施することが主業務となる。
その他にも、店舗設計や売り場広告の作成なども兼任する。
・仕入課
主に、仕入業務と売上伝票の集計業務を担当する。
直接仕入業者と交渉したり、商品の選定、値段の決定なども行う。
・総務課
主な業務は、備品・消耗品の管理、受付や案内、公文書の作成などで、裏方として市岐商デパートを支える重要な役割を担う。
・財務課
すべての現金・預金の収支管理を行い、資金の運用計画を立案する。
また、5月に実施される市岐商デパート株主総会の財務諸表の作成なども担う。
・販売促進課
主な業務は、ホームページやポスターの作成、報道機関への情報提供、会場の飾り付けだ。
また、閉会当日は清掃を率先して進めていく。
・管理課
警備保安業務や駐車場の整備が主業務となる。
来園する顧客と一番はじめに接するため、接客の高い技術が要求される。
・特別事業課
主に生徒と保護者によって実施される市岐商デパートでは、保護者の出し物として飲食部門と謝恩品部門がある。
この課では、その2つのサポート業務を中心に活動する。
こうした、商いに関係する全ての業務を全校生徒で協力しながら実施される市岐商デパートは、設立15周年企画として1983年から脈々と受け継がれてきた伝統行事だ。
学生たちは在学中から本流の商売を学ぶことができることで、その後の進路決定や学習に対して良い影響を受けるだろう。
また、日頃育ててもらっている保護者と一緒に一からつくり上げていくことによって、家族の結びつきが強くなるほか、地域の人との関わりも増え「人との結びつき」の大切さを学べる素晴らしい取り組みである。
今回、この記事執筆については、市立岐阜商業高等学校のページを参考にさせていただいた。
学校行事の様子など、写真を交えて校内の様子を発信している。
この記事を読み興味を持った方は、ぜひリンク先を訪れてみて欲しい。
参考:市立岐阜商業高等学校HP
まとめ
学生の自主性育む環境が整っている学校だと感じた。
特に市岐商デパートでは、文化祭の域をはるかに超えており、学校内で一商売をゼロの状態からスタートしてやるということに驚きを覚えた。
商業学校は総じて卒業後速やかに実務に就くために実践的な教育が施されるが、大抵の学校は資格の取得という学の方面に注力しているものがほとんどで、実学的とは言い難い。
一方本学の場合は、日頃学びを深めた実務的な知識を市岐商デパートという形で実践できる機会が用意されている。
日々の勉強が将来に繋がるという確信があっても、どこか目標を失いがちになる学生はきっと多く、本学のように毎年、実践を通じて日々の学習を試せる機会があることで、確実に意欲的に勉強できるようになるだろう。
また、昨今の核家族化においては家族のすれ違いが多く、なかなかコミュニケーションを取ることが難しく、倫理観や家事などの家庭学習を学ぶ機会が少なくなってきている。
そうした社会的な問題にも、この市岐商デパートは一石を投ずるものなのではないだろうか。
生徒と保護者が一緒になって実施する出し物も多く、学校行事を通じて家庭環境の改善にも貢献していくものである。
部活動に関しても実績を出している部が多いのは、学校の取り組みの中に生徒へ自主性を与えるものが多く、より主体的、意欲的に活動に取り組めている証なのではないだろうか。
勉学だけではなく、心を育む教育を意欲的に実施している素晴らしい学校だと感じた。
商業高校への進学を検討している方に推薦したい1校だ。
最後に、この記事を読んで市立岐阜商業高校に興味を持っていただけたら幸いである。
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